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HERO 9話【長編】

今までのお話し

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HERO 8話


HERO 9話

気がつけばすっかり真夏になっていた。

照りつける日差しは容赦なく、少し歩いているだけで汗が吹き出てくる。

結局あれからというもの、さほど変わった事はなく、学校に行き、たまに父に呼び出されては会社や家に顔を出しに行って見知らぬ誰かに紹介され、そんな毎日を送っていた。

何度かちょっとした事件や、いざこざは目にしたが、オレは何もしなかった。

今までと同じく、同情はするが他人の事とどこかでとらえたまま、通り過ぎた。

特別な力があるなんて言われたって、やっぱりオレはただの普通の人間だ。
少なくとも中身は。

見ず知らずの他人の為に体を張ったりリスクを侵す勇気なんてない。

オレは腰抜けの卑怯者なんだろうか。

そんな自問自答を繰り返しながら、日々を送り、数ヶ月経った。
あれから水科からの連絡もない。

全部夢のようだ。

実はもう、その【GOD】とやらはいないんじゃないか。

その研究は失敗していたんじゃないか。

だとしたら、オレの存在意義はもうないのか。

なんだかんだ言っても、あれからずっとオレは恐れていた。

そして、人を助けられる力がありながら素通りしてきた事に対して、口では正当化しながらも心の底では罪悪感を持っているんだろう。

それでいいと思っていた。

このまま何も起こらなければそれでいい。




でも、その時は意外と早く来た。




ある日、買い物を終えて帰る途中、ふと気がつくと、いきなり目の前に男が立っていた。

Tシャツにジーンズ、髪は短めで、簡単に言うとどこにでもいるおとなしそうな少年。

なんでこんなとこに突っ立ってんだ?と思いながら避けようとしたら、不意に声をかけられた。

「よう」

・・・・?

誰だ?と思ったが、仁の昔の知り合いなのかもしれない。

「ごめん・・・誰だっけ・・・」

と言った瞬間に、オレの体は宙を舞っていた。

そのまま激しく壁に叩き付けられる。

何が起こった・・・!?

おそらく強烈な蹴りをくらって壁まで吹き飛ばされた・・・らしいけど・・・。
問題はその威力だ。

漫画みたいなその破壊力・・・人間のそれじゃない・・・まさか。

混乱したまま立ち上がるオレの目の前に、ソイツは笑顔で立っていた。

痛っっ!
あばらでもイッたなコレ・・・。

「はじめまして!白鳥仁クン」

薄ら笑いを浮かべたままソイツは言った。

少しでもケガを回復させるために、ゆっくりと間をおきながらオレは口を開いた。

「オマエ・・・誰なんだ?」

「なるほど。おもしろい反応だねー」

いたずらをする子供みたいに無邪気な笑顔で話すソイツに、オレは恐怖を隠せなかった。
足が震える・・・これは・・・ケガのせいじゃない。

「もううすうすはわかってんだろ?オレは君らの言うトコロの【GOD】ってヤツさ」

わかってはいたが、全身から血の気が引いた。

殺戮兵器。

他人事のようにきいていたけれど、今目の前にいる。

その話しは事実だった・・・この笑顔でわかる。
こいつは・・・簡単に人を殺せるヤツだ・・・。

逃げなきゃ殺される・・・。
オレなんかに勝てるワケがない。

そんなオレの心を見透かしたように、緩やかにソイツは言った。

「あれ?つまんないね。何でそんなに怖がってんの?まるで普通の人の反応じゃないの。君強いんでしょ?ホラホラ攻撃してきなよ。楽しみにしてきたんだからさ。」

このままじゃ殺される。

オレは腹をくくって相手を凝視した。

瞬間。

相手の右拳が顔面に繰り出されて来た。

見える。

右に頭を振って避けたその拳は、そのまま後ろのコンクリの壁にめり込んだ。

ただ、この間のチンピラと違うのは、見えはしたがけしてコマ送りではない。
それだけ早いという事だ。

「おぉー。初めて避けられたよ。そうそう。おもしろくなってきたー」

心の底から楽しそうに、ソイツは飛び跳ねてステップを踏み始めた。

初回の攻撃もほぼ癒えたようだ・・・痛みがなくなってきたオレは、立ち上がってソイツに向き直った。

「オマエたちは何をするつもりなんだ・・・?もうやめないか・・・オレは別に闘いたくない」

無駄と思いつつも声をかけてみた。

目の前のソイツは、大笑いしながら言った。

「なんだよそれー。博士が何したいのかなんて知らねーよ!オレは言われたからやってるだけだし」

「そんなに力があるのに命令にしたがって意味のない事してどうなるんんだ?」

「は?オレらは命令に逆らえないようにできてんだから。それに・・・人を殺すのにいちいち意味なんているの?」

オレは、水科の言葉を思い出していた。
そうか・・・。

元の人格はもうないんだな・・・確か、命令に従う兵器だと言っていた。

無駄なのか。

ソイツはきょろきょろと周囲を見渡し始めた。

「なんだかさ。君イマイチやる気がなくてツマんないから、やり方変えるよ。」

・・・・・は?

「あそこに子連れのママさんいるよね」

ソイツが指差す方には、幼稚園児くらいの女の子と手をつないで歩く母親がいた。


・・・まさか。


「うん。今からあの親子、殺すから。止めてみなよ。ははは」

ちょっとま・・・

言う前にソイツは風のような早さで走り出した。

マジか!

脅しじゃない。

こいつは確実に殺す・・・!

オレも考える前に走り出していた。


つづく
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/01/05(水) 05:10:00|
  2. HERO【長編】
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