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ただひたすらに戯言を

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HERO 12話【長編】

今までのお話し

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HERO 2話
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HERO 7話
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HERO 11話


HERO 12話

まだ朝なのに、ベンチに座っているだけで汗が噴き出てくる。

真夏の日差しは容赦ないな。

「じーん!これー見てー!」

女の子が小走りに走ってきて、砂で作った団子を大事そうに持った手のひらをオレに見せる。

「おーうまそーだなーごま団子だな」

「違うよ!おにぎりだよ!」

・・・どうやら間違っていたらしい。

「おまたせー」

向こうからジュースを持った真由美がやってくる。

「暑いねー。ハイ仁くんのと、楓ちゃんの!」

オレと女の子に手渡す。

「ありがとー」

「お!おいしそうなおにぎりだねー」

「そうでしょー!」

ジュースを手に向こうに走り去っていく女の子。

「・・・何でアレがおにぎりだとわかったんだ?」

「見ればわかるじゃない?」

そうか・・・?

「それよりも、もうすっかり元気そうね・・・楓ちゃん」

「あぁ・・・」

あの女の子の名前は楓。

目の前で母親を惨殺されたあの女の子だ。

「女の子の方は記憶をいじってありますので、あのときの記憶は一切ありません。もっと昔に母親は病気で死んでしまった事になっています」

と、水科は言っていた。

仕事でいないとかなんとか言っていても、母親がいないという現実にいつかは気づくわけで、いつまでも誤魔化しきれない以上、仕方がない。

今はちゃんとした施設で不自由なく暮らしている。

でもこの子の母親を奪ってしまったのはオレだと思っている。

あの事件の記憶はないのだが、気になって毎日通っているうちに、すっかりと顔なじみになってしまった。

「そろそろ行くよ」

オレは立ち上がった。

「そう・・・。これからしばらくは会えないけど。体だけは壊さないようにね」

真由美は心配そうに手をぎゅっと握ってくる。

「大丈夫だよ。死ぬわけじゃなし。1ヶ月あとに、修行達成記念にウマいラーメンで喰おう」

少し歩いてから振り向いたら、真由美はずっと手を振っていた。

その後ろに走り回る楓。

どんなに頑張ったって、オレは漫画のHEROみたいに全てを護って全てを倒すことなんてできる気がしないけど・・・。

それでも目の前の、いま大切な人間たちの為に強くなろう。






****************************************






研究所に着くと、既に水科は待っていた。

「それでは始めましょう。これから1ヶ月の間に、相手が何もしてこないとは限らない・・・ですが、今のままで行っても何もできないでしょう。一切の外界の情報を遮断して集中してもらいます」

「それでいい。限界までやってくれ」

「そのつもりです・・・長いスパンでゆっくりと仕上げている時間は無いようです。へたをすれば命を落としますが、いいですね?」

・・・全く持って漫画みたいな展開そのものだな。

現実には【死ぬかもしれない】なんて言われてることをやる人間などいない・・・けどな。

「わかった」

水科とオレはいつもいる部屋のさらに地下にある大広間にいた。

「ここはよほどの事でも壊れないようになっています。大砲でもこの壁は壊れません。今日からここでそれぞれの項目の専門家たちとのトレーニングを始めます。寝食は奥の部屋で、最低限の物はあります。」

「わかった・・・さっそくもう始めてくれ」

こうして時間を無駄にしている間にも相手は強くなっているような気がしてならない。

「この間・・・総理が官邸で惨殺されましたね。全く物音も立たずに明朝まで気づかれなかったようです。警備員は胸を一突きで全員死亡。総理に至っては、首をはねられていました」

オレもその情報は大体新聞で見た。

「音を全く立てずに進入、おそらく警備員は自分が死んだ事もわからずに一瞬で殺害されたでしょう。相当【GOD】の能力は洗練されてきているとみていいでしょう。おそらく、この前アナタが会ったときよりもはるかに」

淡々と水科は言った。

「オレは・・・そんなヤツに勝てるのか。この前ですら歯が立たなかった」

オレの問いに頷き、さらに続ける。

「総理のいきなりの殺害にいま日本は大混乱しています。世間はテロリストの仕業ということしか知らないでしょうね。真実を知らせてもただパニックが広がるだけです。政府へのコントロールは白鳥グループがやってくれています。私たちは、とにかく戦える状況を作ることに専念しましょう。そのためにまずはアナタのレベルアップです」

「その博士と【GOD】を止める事ができなかったら・・・」
オレは呻くようにつぶやいた。

「おそらく日本から世界にまで破滅の音は広がるでしょうね・・・」

オレは・・・世界がとかそんなのわからないしピンと来ないよ。
でも、楓のような子供が笑顔で遊べる世界であって欲しい。

「さ・・・説明はここまでです。それでは始めましょう!」

水科が言うと、奥からなんか完全防備の兵隊みたいなのが数人入ってきた。

な・・・なんだ!?

「敵の研究者・・・もとの私の相方だった男の名前は【鈴木】。鈴木は勘違いをしている。確かに【GOD】は恐ろしいが、あれは当時私が生み出した研究、ヤツはそれをそのまま完成させたに過ぎない。【HERO】はそれをさらに改良させて生まれた完成系なのです。アナタには【GOD】の上をいっていただきます」

入ってきた兵士達は、ライフルをジャキジャキ言わせながらスタンバっている。

おいおい。

こわいんですけど。

外人部隊かっつーくらいにゴッツいしよ。このソルジャーども。


「イエス」


・・・外人かよ。


「では・・・第一段階からいきます。銃弾の雨を全て防ぎ、この兵士達を倒す。そこから始めましょう」


・・・・・!

それ・・・第一段階・・・?


「・・・無理じゃね?」



「はじめ」


そうしてオレの地獄の1ヶ月は始まった。




****************************************




「終わった・・・」

そうつぶやき、水科はソファーに倒れ込んだ。

「これで・・・これでこちらの作業は終わりだ・・・」

風呂にも殆ど入っていないせいか、顔が脂ぎっているな。


・・・もうあれから1ヶ月か。


思ったよりも向こうの打つ手は早かった。

あれから数回起こった大量惨殺事件。

国もただテロリストの仕業と言って警戒レベルをあげるだけでは、もう限界があるだろう。

しかし、わからないのは・・・。

結果や目撃情報では、どう考えても【GOD】の他にも何人かいるとしか思えない。

それはありえない。

なぜなら、あの細胞は現状【GOD】と【HERO】の2体分しか存在しないハズ。
これは絶対だ。

研究段階での失敗を繰り返し、完成したのはあの2人分だけ。

手口から見ても、普通の人間には無理だ。
同時に他地域で発生しているのはいったい・・・?


まぁ、しかしこちらの反撃の準備は整った。

不眠不休の急ピッチでなんとか進めてきたが、そのせいで後半はすっかり仁くんの事は任せっきりになってしまった。

最初の1週間は様子見に行っていたが、あれから順調なのだろうか。



「風呂入ってんのか?くせーぞ」


おわ!


「仁くん!いつのまに!」

水科が顔を上げると、背後に仁が立っていた。

「・・・見違えた。ずいぶん精悍な顔つきになりましたね」

「そうかな。自分じゃわからんけど・・・まぁ一応それなりにやったよ。後は実戦でどうかだなー。とりあえず心配してるだろうから、真由美に顔だけ見せてくるよ。その後また戻るから、いいだろう?」

「え、えぇ。そうしてあげて下さい」

仁の後ろ姿を見送り、深く息を吐いた。

ふー・・・。

気配すら感じなかったな・・・。

歩き方からみてもわかる・・・これは・・・思った以上なのかもしれない。

その誤算は【HERO】の細胞のせいなのか仁くんのポテンシャルなのか。

・・・こうしてはいられない。準備しておかなくては。

立ち上がり、部屋を出た。





****************************************




オレは真由美とラーメン屋に居た。

「あーやっぱうめーなー。栄養がなんたらとか言っても味気ねーメシばっか喰わされてもなー」

オレは汁まで全部飲み干した。

「あーだから汁まで飲むのは体に悪いって言ったでしょー。まぁ今日はいいか」

なんだかんだ言って真由美も1杯完食するようになった。
初めてのときは半分以上残してオレが喰ったのにな。

「いやぁたまらんね」

瓶ビールをコップに注いでもらいながら、つまみのザーサイをかじる。

「仁くんに教えてもらわなかったら、こんな食事風景はきっと想像もできなかったなぁ」

笑いながら真由美が言った。

「でも、このうるさい感じも悪くないだろう?これが人間ってヤツだよ」

「ふふふ。そうね」

真由美は頬杖をつきながら、笑ってオレの飲み食いをみている。

「それで、シュギョーはどうだったの?心配したんだから」

「うん。いきなりソルジャーが銃構えたときは死ぬかと思ったけど・・・まぁこれならなんとかなりそうだ。【GOD】と闘ってみないとわからんけどね。オレはもう・・・逃げないよ」

「無理・・・しないでね。そんな闘うとかそんなの現実感ないけど・・・やらなきゃダメなんだよね」

泣きそうな真由美の頭をポンと叩き、立ち上がった。

「大丈夫・・・HEROは死なないよ。最後は勝つようにできてんだぜ」






****************************************




研究所に戻ったオレは、水科に説明を受けていた。

「まずはこのスーツを服の下に着て下さい。刃物は通しませんし、銃弾も貫通しません。それと衝撃を吸収する効果があります」

なるほど・・・着てみると軽いし動きの邪魔にもならない。
こりゃぁいい。

「武器の所持は、はっきり言って今のアナタにはかえって邪魔になるだけと思います。」

「うん。オレもそう思う」

「あとはコレを常に持っていて下さい。連絡はこれで取り合えます。防水で衝撃にも強いのでどこに入れておいても大丈夫です。」

小さいスティック状の・・・無線機かな?


その時、水科の携帯がなった。

「はい・・・。そうですか!わかりました。少々不安はありますが・・・それしかないでしょうね」

電話を切った水科が、神妙な顔でこちらを向く。

「【GOD】らしき人間が、今発見されました。もちろん普通の人間にどうにかできるワケはないので、見張らせています。何が目的かはわかりませんが、行ってくれますか?」


・・・来たか。


「その為にやってきた。行くさ」

「では、車をすぐにまわします」


外に向かいながら、オレの心臓は高鳴った。

やるだけの事はやってきた。

ヒーロー漫画真っ青の、想像を絶する事をクリアしてきた。

今のおれはもう無敵だと、自信に満ちあふれたハズだ。

でも・・・やっぱ怖ぇな・・・。

これはアトラクションでも映画でも漫画でもないからな。

どんなに自分が強かろうが、間違えば死ぬんだ。

切られれば血も出るし、耐え難い苦痛もある。


「どうぞ乗って下さい」

表には車が待っていた。

「30分で着きます」

ものすごい勢いで車は加速した。

あぶねぇ!事故るなよ!そんでスピード違反とか大丈夫なのか・・・?

とか今この場で心配してしまうオレは、根っからの一般市民だと思った。

っつーか、これから殺し合いに向かうのに、事故の心配とか・・・。

苦笑しながら、伸び放題の髪を後ろでくくり、借りてきたシェーバーでヒゲを剃った。

髪もずいぶん伸びた。普通に下ろしたら背中までかかるなぁ。

新しくもらったグローブも、肌に密着してすげーな。
これしたまま裁縫とかできそうだな。


よし・・・。やれるだけやってみるさ。



「着きました。あそこです」

海沿いの道路。

車を降りて前をみると、浜に降りる階段の先、浜辺に人がいる。



その周辺に2人ほど倒れている。
【GOD】の野郎!もう誰か殺しやがったのか!


オレは走って浜辺に辿り着いた。

倒れているのは男女のようだ・・・それも。


首から上がすでにない。

砂浜に流れた血が吸い込まれていく。


その先に立つ男は、のんきにケータイをいじっている。


【GOD】

初めて対峙したときの恐怖が蘇る。

だめだ。

震えるな!

オレはあの時とは違う!


その後ろ姿に声をかけた。


「久しぶりだな・・・。これは・・・オマエがやったのか!」




一瞬の間をおいてクルッと振り向いたその顔は





知らない顔だった

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/05/08(日) 04:06:20|
  2. HERO【長編】
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

うわ・・・

つづき、気になりすぎ・・・ドキドキが消えないうちに、ぜひ続きを・・・お願いします。
  1. 2011/05/12(木) 10:55:43 |
  2. URL |
  3. 一恵 #-
  4. [ 編集 ]

更新が遅くて申し訳ないです(+_+)
  1. 2011/05/28(土) 23:10:39 |
  2. URL |
  3. 平 #-
  4. [ 編集 ]

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