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ただひたすらに戯言を

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HERO 13話【長編】

今までのお話し

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HERO 13話

透き通るような青い空。

そんな平和な風景にそぐわない、首のない死体が目の前に転がっている。

オレが【GOD】だと思い、対峙した男は知らない男だった。

「おまえは・・・誰だ」

振り向いたその男はオレが言いたかった言葉をそのまま口から放った。

「それはこっちのセリフだ。オマエは誰なんだ?【GOD】と関係あるのか?この2人はオマエが殺したのか?」

とりあえず感じた疑問を一気にオレはまくし立てた。

・・・。

男は何も言わず、ずっとオレを見ている。値踏みするように。

オレは【GOD】と決着をつけるためにここに来た。
しかしこいつは誰なんだ?
無関係とは思えないが・・・。

品のなさそうな似合わないオールバックに紫のスーツ、がに股で立ち、携帯をいじっている姿はただのチンピラだ。
とても特殊な人間とは思えない。

ただ、圧倒的に普通の人間と違うのは、目だな。

目に、生気ってものが全く感じられない。
コイツ自身が死体のようだ。

そして・・・こうして落ち着いて見ると、何か違う。

【GOD】とは・・・。

そうか。

あのとき、オレは対峙した瞬間にコイツが【GOD】だと瞬時に感じた。
それはあの絶望的な圧力と恐怖。

それがない。

今のオレがそこそこやれると自信をつけたためか・・・いやそうじゃないな。
あのにじみ出る圧倒感と恐怖が、やっぱりないんだ。

「あーそうか。おまえが【HERO】か。割と普通なんだな」

かったるそうにアタマをかきながらヤツはやっと返事をする。

「やっぱり【GOD】や鈴木博士の仲間か」

「仲間・・・ってよくわかんねーけど、まぁそんなトコか」

「ここに何の目的があって来たんだ。なんでこの人たちを殺した!」

おもむろにそいつはこちらに向かって走ってきた。


ッガッ!


繰り出してきた蹴りを手で払う。

やはり・・・普通の人間ではない。

コイツも【GOD】と同じなのか・・・?それにしては・・・。

「ほー。さすがだねぇ。聞いていた以上だよ。」

そいつは意外そうな顔をしてこっちを見ている。

「めんどくせーけど教えてやるよ。ここに来た目的は、ズバリ【オマエ】だ。この2人はおびき寄せる為のエサ。たまたま目の前にいたから、殺した。ただそれだけ。ははは・・・手なんか繋いで笑顔で散歩しててな・・・幸せそうだったな・・・始めに女の方を目の前で殺してね。男の反応がまたおもしれーんだ・・・。きさまー!なんか言って向かってくるしね。漫画かっつーんだよ!大丈夫・・・オレは優しいから一瞬で首はねてやったからさ・・・。思い出すと笑いがとまんねー!・・・くかかか・・・だってこんな」


言い終わる前にオレの蹴りがそいつの側頭部をとらえていた。


5mほど吹っ飛んでとまる。


「おい。おまえの能書きなんぞもうどーでもいい。クソ野郎。【GOD】と鈴木はどこだ?さっさと教えろ」

怒りで自分が抑えられない。
オレは起き上がったそいつを睨み付けていた。

「ひでーなぁ・・・おまえが聞いてきたんだろう。まぁいいや。これからオマエを殺す。オレは特別な力を持った、選ばれた人間なんだよ。【GOD】の野郎も偉そうにしてやがるけど、オマエの後でおれがぶっ殺してやるよ」

立ち上がり、こちらにゆっくり歩いてくる。

・・・ふー。

怒りに我を忘れるな。

【GOD】の前にちょうどいい練習台じゃないか。

・・・・。

ヨシ!

まずは五感を最大限研ぎ澄ますイメージ。


そいつは全力で走って来た。


右手を振り下ろしてくる。

右手は研ぎ澄まされた刃物のような手刀になっていた。
これで首を落としたのか。

避けるのは簡単だが・・・。
オレは左腕に意識を集中する。
細胞を凝縮して集めるイメージ。


ガキィ!


受け止めた瞬間、ヤツの目が驚きで見開く。

その瞬間、意識を右腕に集中させる・・・堅い堅い鋼鉄のイメージ・・・。

まだ体勢が整っていないヤツのみぞおちにそれを振り抜く。


ドンッ!


吹っ飛ぶ。

オレはそのまま足にイメージを集中し、走る。

しなやかな獣のように。

吹っ飛ばされたヤツが空中で体勢を立て直そうとした瞬間、すでに追いついていたオレはさらに上から叩きつける。


ドカァ!


そいつが地べたにはいつくばると同時に上から破壊力を増した足で踏みつける。

10回

20回

そして数歩下がり、見つめた。


ゆっくりとそいつは起きあがってきた。

「なんでだ・・・」

ん?

「なんでだー!おかしいだろーが!鈴木はオレでも勝てるって言ってたぞー!なんなんだよおまえの力はよー!」

地べたに立ち膝の状態でそいつは叫んでいる。

よし・・・オレは落ち着いている。

「そんな事言ったってしょうがねぇだろ。思ったより強くなっちゃったんだから。オレだって予想外だよ。」

泣きそうな顔でそいつはオレを睨み付けている。
「まだ・・・やられてねぇぞ。テメー余裕こいてんじゃねーぞこの野郎!」

立ち上がったそいつは足取りもままならず、ダメージの深さを物語っていた。

「1つ言っておいてやるがな・・・おまえじゃぁ【GOD】を殺すなんて無理だぞ。アイツの強さはもっと圧倒的だった。おまえじゃ相手になんねー。オマエは同じ強化を受けたワケじゃなさそうだな。」

「うるせー!えらそうにすんじゃねーよ!今殺してやる」

「おまえは強くなったつもりで優越感たっぷりで、そこのカップルを気持ちよく惨殺したんだろうな・・・。おまえなんかただの弱者なんだよ。オレにはその幸せいっぱいのカップルは殺せねーよ。どんな理由があってもだ。おまえみてーに中途半端な力を持ってるヤツよりも、遙かにつえーんだよ。この人達の幸せに満ちた気持ちの方がな」

「ワケわかんねーこと言ってんじゃねー。いま殺してやるからよー」

フラフラしながら歩いてくる。

しかし何なんだコイツは・・・。

【GOD】と同じ強化を受けたとしたら、あまりに脆すぎる。

失敗したのか。

それとも・・・。








そのとき、異様な圧力を感じた!

右を向く。

そこに男は立っていた。



「やぁ、ひさしぶり」



短かった髪は少し伸びているが、相変わらずの普通のラフな格好。

だが。

忘れもしないあの圧倒的な恐怖、空気。

そこに【GOD】が立っていた。

まるで仲の良い友達のように。

自然に、笑顔で、手を振りながら。


「いつからいた・・・!」

「久しぶりなのにそんな怖い顔しないでよー。うん、初めから見させてもらったよ。驚いたよ。もうほぼ力を引き出してるみたいだねぇー。」

普通の少年のようにニコニコしながら話している。

それが逆に怖い。


そこで血まみれの【ヤツ】が近づいてきた。

「てめーゴッドォー!勝手にしゃしゃり出てくんじゃねーよ。コイツはオレが今から殺す」

ニコニコしながら【GOD】は返す。

「もうやめときなよ【C】。キミじゃー彼には到底勝てないよ。うん。」

「な・・・に・・・!ふざけんな!オレは特別なんだよ!」

【C】と言われたその男がそういった瞬間、【GOD】の顔から笑みが消えた。


「試作品の残りっカスが何を言ってるの?キミはボクや仁クンとは違うんだよ?僕らみたいな完全体にキミみたいなカスが勝てるワケないじゃん?」


発せられる圧倒的な恐怖。

理屈じゃない。

情けないことに、オレの足は震えた。

そしてこちらに向き直った【GOD】はまた笑顔に戻っていた。

「さて仁クン。ボクはそろそろおいとまするよ。今日はキミの成長具合を観に来たんだ。いやぁ想像以上で嬉しいよ。・・・でもまだボクには届かない」

震える足を押さえつける。

ビビッてる場合じゃねー。

オレは何のためにやってきたんだ。

「待てよ!決着をつけるぞ」

【GOD】は困った顔をしてこちらを見る。

「うーん。博士は殺せって言うんだけどさぁー。まだ殺したくない・・・もっと全力でぶつかり合いたいんだよ。そうだいいことを教えてあげよう。実はボクの他に、強化された人間は3人いるんだ。1人はそこにいる【C】。彼はキミももうわかっている通り、大したことないんだ。それでも以前のキミなら倒せてたハズなんだよ?そしてあと2人、【A】と【B】がいる。この2人はボク程じゃないけど・・・強いよ。今のキミといい勝負をするだろうね」

【GOD】は、友達に話すように楽しそうにしゃべっている。

「何が・・・目的なんだ」

「目的は・・・言えない。でも、後の2人を倒したらボクと対決しよう。今のボクにはそれが全てだ。ボクの感情をもっと揺さぶってよ。もっともっと強くなって、ぶつかってきてよ。キミとボクは世界でたった2人だけの至高の存在なんだから」

後ろを向いて歩き出す【GOD】。

何か違う。

前回は本当に感情のないマシーンのようだったが、今は何かが違う。

「おい【GOD】!おまえは本当に普通の人間だった頃の記憶を全て失ってんのか!」

【GOD】は立ち止まって振り向く。

「・・・さてね。あぁ、ちなみにそこにいる【C】はそのまんま記憶も残ってるんだよ。もともとがそういう雑で粗暴な人間なんだ。殺してもいいよ。ははは」

「じゃあね」

ニコッと笑って立ち去っていく【GOD】。


・・・オレは・・・情けない。


なんでそのまま見逃した。


今倒せば全て終わるのに。

でも。

わかるんだ。

どうやっても勝てない・・・。









ドンッ









背中に衝撃が走った。


あれ。


背中に手をやってみると、深々とナイフが突き刺さっていた。


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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/05/29(日) 02:51:35|
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