beat sb hollow

ただひたすらに戯言を

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HERO 18話【長編】

今までのお話し

HERO 1話
HERO 2話
HERO 3話
HERO 4話
HERO 5話
HERO 6話
HERO 7話
HERO 8話
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HERO 16話
HERO 17話



HERO 18話

女は地面に片膝をつき、なかなか立ち上がれない。

それを上から笑顔で見下ろす男。

「なんだよ。しっかし弱っちーな。こんなもんなのか?」

女はゆっくりと立ち上がり、目の前の男を睨む。

「なん・・・だ。さっきまでとは別人じゃないか。さっきまでのアンタは女を攻撃する事にもっと躊躇があった・・・ゲフッ!」

蹴り飛ばされて後方に飛ぶ女。

「おいおい。何ヌルい事言ってんだよ。笑わせるなぁ。お前はオレを殺しにきたんだろ?あのやさし~い男と一緒にすんじゃねーよ」

女の方に近づいて行く。

ガシ!

後ろからガクが羽交い締めにしてくる。

「そうだな・・・。まずはお前から片付けるか・・・ガク」

簡単にガクの腕を払い、向かい合う。

地面に這いつくばりながら、女が言う。
「さすがのアンタも幼なじみに攻撃できないでしょ。きゃはは!その子はアンタを殺すまで止まらないよ!きゃははは・・・・は?」

ガクは仁に蹴り上げられて後ろに吹っ飛ぶ。

「?今なんか言ってた?」

仁はそのまま倒れてるガクの方に歩いて行く。

「ウソ・・でしょ?アンタ。その子死んじゃうよ?どうすんの?」

「は?オレに歯向かってくるんだからしょうがねーだろ?」

「アンタ・・・本当に白鳥仁なの?」

倒れているガクを引きずり起こし、顔をビンタする。

2回、3回。

「おーい。馬鹿野郎。目が覚めたか。オレは白鳥仁、お前はガクだ。さっさと目ぇ冷ませ。帰ったらお前のあのヘタクソな【絵】見せろよ」

「う・・・ヘタクソっていうなよ・・・じ・・・ん」

「!!!バカな!いくら弱まったとは言え、そんな簡単な事で解けるわけが・・・」
女は目を見開いたまま硬直している。

「ははは。さて・・・と。お前はちょっとここらで寝てろ。さんざん人を小突きまわしやがってよ。後で覚えてろよ」

仁はゆっくりとガクを寝かせる。

「仁・・・仁なんだね。なんだか、ものすごく久しぶりに会った気分だ。最近も会っているのにね。ごめん・・・ごめんよ仁。僕・・・。」

「いいから寝てろ。そういうの、めんどくせぇ。ははは、お前、変わってねぇなぁ。もっと肩の力ぬかねぇと疲れるって何回も言ってるだろが」

「ふ・・・久しぶりに聞いたな・・・その言葉。適当なやつだよお前・・・は・・・でもその傷は・・・」

言いかけてガクは目を閉じた。
気を失ったようだ。

白鳥仁は立ち上がり、女の方へゆっくりと歩いて行く。
胸からはボトボトと血が溢れ出す。

「お前ごときの攻撃がこのオレに聞くかよ。かすり傷だ」

女は顔を伏せている。

「アンタ・・・なんなの?幼なじみがもとに戻らなかったらとか、考えないの?」

「あいつの事はオレが一番よくわかってる。まぁ、【信頼】ってやつだな。はっはっは」

「信頼・・・か。私にはどういう物かわからないわ」

「おい、女。さっさと終わらしてやるからな。めんどくせーし痛ぇーしな」

近づいた瞬間、女は顔を上げる。

「きゃははは!油断したね!本当にアンタは迂闊だねぇー。はい、これでおしまい」

言い終わる前に蹴り上げられて後ろに吹っ飛ぶ女。

「ぐ・・ふ・・。なんで?確実に今アンタの意識を飛ばしたハズ・・・ぐっ」

ゆっくりと近づく白鳥仁。

「は?今なんかしたの?」

「ばかな・・・!私の強化催眠が聞かない人間なんていない!」

ニコッと笑って倒れている女に蹴りを入れる白鳥仁。

「悪いな。催眠術とかそういうの・・・全くオレ、信じてねーんだわ」

かろうじて立ち上がる女。

「ウソでしょ・・・そんなめちゃくちゃな理屈で・・・。アンタなんなの?幼なじみは平気で蹴り倒すし、女は平気でボテクリまわすし・・・ぐっ。まさか【B】のストーリーが狂うことがあるなんて・・・」

女の胸ぐらを掴み、笑う白鳥仁。

「ひっ・・・鬼!助けて!助けてよ・・・なんでもしてあげるから!」

「悪いな。オレは、タバコ吸う女、好きじゃねーんだ」

ガッ!

首を叩くと女は体中の力を失い、横たわった。

「ふ~・・・。さすがに疲れたな」

白鳥仁はそのまま座り込んだ。

「アイツ・・・いっつもこんなに大変なんだな・・・・うっ」

頭を抱えてうずくまる。

「引っ張られる・・・やっぱ限られた時間だったか・・・」

近くにアイツの気配を感じる。

「そうだな・・・交代だな。ちょっと出血ひどすぎて死ぬかもしれねーけど、まぁ、後はお前がなんとかしろよな。ははは・・・」

そのまま倒れて動かなくなった。





****************************************





「仁くん!仁くん!」

目を開けると、隣に真由美がいる・・・あれ?何がどうなった・・・?

ゆっくりと体を起こす。

白い壁、白い天井・・・そうか、病院のベッドか。

「仁くん!大丈夫?私、わかる?」

真由美は泣きながらオレの手をとっている。

「そうだ・・・仁が助けてくれたんだったな」

「仁くん!良かった!真由美さん、とりあえず山は超えました。もう心配ないですから、少し仁くんを休ませてあげましょう」

水科か・・・。また彼が一所懸命助けてくれたんだろうな。迷惑をかける。

オレはそのまま意識を失った。





****************************************




公園のベンチ。

風が気持ちいい。

やっぱり生きてるっていいもんだ。

「もう、本当に大丈夫なの?」

真由美が隣にいる。

「もう大丈夫だよ。オレは、そう簡単に死ねなくなっちゃったからな。ははは」

真由美は複雑そうな気まずそうな顔で俯く。
あぁ、冗談のつもりが、気を使わせる事言っちゃったな。

結局あの後、かけつけた水科たちによって、倒れている俺たちは回収された。

オレは虫の息だったらしいが、助かった。
すぐに回復する体のオレが3日間目を覚まさなかったのだから、相当だったんだろう。

後で聞いた話だが、女はおどろくほど損傷がなかったらしい。
すぐに治る見た目だけがハデな跡ばかり。

ガクも、軽い検査だけで大した外傷もなく、翌日には退院した。

【信頼】か・・・。

きっと、仁がいなかったらオレではガクの目を覚ます事はできなかっただろう。
オレはあいつを蹴り飛ばすことなんかできなかったし、心を揺さぶる言葉も言えなかった。

見た目だけ同じでも、積み上げた絆はやっぱ真似できなーな・・・。

仁・・・オレは見ていたぞ。

お前、表向きだけダークヒーロー気取ってたって・・・お前だって甘いじゃねぇかよ。
そして、ちょっとかっこいいじゃねぇかこの野郎。

それに・・・最後の言葉・・・

「どうしたの?なんか顔が笑ってるよ?ふふふ・・・へんなの」

真由美がオレの顔を覗きこんでいる。

「なぁ・・・真由美・・・キミは・・・本当は仁が好きなんだろう?」

「・・・え?も・・・もちろん。好きだよ仁の事!」

真由美は、既にオレの中身が田中純であることを知っている。
それでしらを切っているんだろう。

「本当の白鳥仁が・・・だぜ?」

はっとした顔をして俯く真由美。
「・・・・・。私は・・・あんな人好きじゃない。今の仁くんがいい・・・やさしいし。それに、【彼】は私のことなんてどうとも思っていない。一緒にいても1回も異性としてみられたことなんてなかったと思う」

こんなに動揺する真由美をみるのは久しぶりだな・・・。

オレは真由美の手を取る。

「オレは仁の日記を見た・・・キミの事ばっかり書いてあったよ。すまない・・・とか、どうしたらいい・・・とか、あいつはバカみたいに不器用なヤツだ」

「そんな・・・だって・・・」

「あいつがそういうヤツなのは、キミが一番よくわかってるんだろ?オレは意識を共有してはっきりとわかったよ。アイツは不器用で、やさしいやつだ」

真由美は大粒の涙を流して泣いている。

「そんな勝手な事言われたって!さんざん好き勝手やってきて、ないがしろにされて、今更好きって言われたって、もういないじゃない!昔っからそう。面倒ばっかり起こして、本人はいっつも大した事ないって飄々として周りを振り回して・・・」

おもいきり真由美を抱き寄せた。

「こないだ、最後にな・・・アイツが頭の中で言ったんだよ。照れくさかったんだろうな。殆ど聞こえないくらいの声でな。」

「真由美を・・・頼む」って。

「え?」

「キミはいい女だ。オレも何度も何度も、キミと一緒にやり直したいと思った。でも・・・オレは・・・なんとなく気づいてたのかもな。キミは、今でも仁が好きだ。そして、オレも久美子を忘れる事はできない」

泣きながら顔を上げる真由美。

「・・・そうね。でも・・・仁くんはもういない」

オレは真由美の頭をやさしく撫でる。

「大丈夫だ。全てが終わったら・・・必ずオレは仁を戻す」

「でも・・仮にそんな事ができたとしても、アナタは・・・アナタは・・・久美子さんは・・・!」

「いいんだよ。久美子は何も知らないままで、どこかの誰かと出会い、幸せに暮らす。それでいいんだ。オレは・・・黙って消える」

「そんなの・・・そんなのない!だって・・・」

「周りには理解されなかったかもしれないけど、仁はオレなんかよりもずっとすごいヤツだ。それに、・・・仁には、まだまだ必要としてる人間がいっぱいいるんだ。だから必ず帰す。信じろよ」

「・・・私自分でもわからない。アナタが消えるのはいや。でも、仁が帰ってくるかもって聞いたら、少し喜んでしまった自分がいる。最低の人間・・・でも、やっぱりアナタが犠牲になるなんて!」

オレはタバコに火をつける。

「仁はそういやぁ、あんなにガラ悪いのにタバコ吸わなかったなぁ。ははは。・・・あのな、不思議と、今は怖くないんだ。真由美と仁の幸せな未来を想像し、久美子のささやかな幸福な未来を想像する。そうすると・・・嬉しくなるんだよ。これ、強がりじゃないんだぜ?久美子はな、見てくれはキミみたいに美人じゃないけどな、人を幸せにする空気をまとっているんだよ。絶対にいい男が幸せにしてくれると思うんだ」

「私・・・・何でもするから。だからあきらめずに、アナタも残れる方法を探そうよ!まだ時間はあるんだから!」

その後、真由美はずっとオレの胸に顔を押し付けて泣いていた。

ずっとずっと泣いていた。

オレなんか、家族ももういない。職場も潰れている。唯一の大事な人の中には、もうオレはいない。

だからオレが全てを守る。

そして、このまま、いなくなる。

それが一番いいんだ。

でも・・・。

それでも・・・。


「ありがとうな」



結局、こないだの女は強化人間だったが、ガクは催眠で操られていただけだった。

おそらく、女が【A】だと言っていたのは本当だろう。

そうすると、【B】がまだいる事になる。

オレは、意識の奥で確かに聞いた。
女は最後に【B】のストーリーとか何とか言っていた。

あの後確保された【A】は、こないだのチンピラのおっさんと同じく、いきなり苦しんで死んだ。
また毒かなんかだろう。

あんなヤツだけど、やっぱり哀れだ。
あれはあれで犠牲者なのかもな。

あいつもまた孤独だったのかもしれない。

1つ何かが違えば、あいつだって別の生き方があったんじゃないか。

・・・まぁ、今そんな事を考えていてもしょうがない。


とにかく【GOD】まであと1人。

もう少しだ。

こんな事は絶対に終わらせる。

今回もかなりギリギリだったけど、なんとか勝てた。

あと少し・・・。

それでオレは・・・。

いや、いいんだ。


オレのストーリーは、オレが完結させる。




「今日はどうする?何か、私にできる事はある?」

あんな事があった後なのに、いつも通りの笑顔で真由美はこちらを見ている。

本当に大した女だよ。すげーヤツだと思う。
大丈夫な訳なんてない。
自分の気持ちがどんなに大変なときでも、この子は人を気遣う事ができる。

「できる事か・・・そうだな」

「なになに?何でも言って!」



「じゃあ、一緒にラーメン食いに行こうぜ」


今は、これでいい。

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/12/09(金) 16:40:08|
  2. HERO【長編】
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

いよいよですね・・・

純くんと仁くんと二人とも、存在できる道があればいいのになって・・・

やっぱり・・・ハッピーエンドだったらいいなって思って読んでます。


すっかり冬の陽気で随分と乾燥もしていますから、風邪などに気を付けて過ごしてくださいね。
  1. 2011/12/12(月) 11:15:49 |
  2. URL |
  3. 一恵 #-
  4. [ 編集 ]

結末は・・・どうなることやらです(笑)

すっかり寒くなって来ましたねー。
  1. 2011/12/24(土) 08:06:39 |
  2. URL |
  3. 平 #-
  4. [ 編集 ]

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