beat sb hollow

ただひたすらに戯言を

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

HERO 24話【長編】

今までのお話し

HERO 1話
HERO 2話
HERO 3話
HERO 4話
HERO 5話
HERO 6話
HERO 7話
HERO 8話
HERO 9話
HERO 10話
HERO 11話
HERO 12話
HERO 13話
HERO 14話
HERO 15話
HERO 16話
HERO 17話
HERO 18話
HERO 19話
HERO 20話
HERO 21話
HERO 22話
HERO 23話


HERO 24話

暗闇の中、打撃音と男2人のうめき声が、ただただ、響いていた。

「はぁはぁ・・・いいかげんしつこいね【HERO】・・・もう疲れちゃったよ」
大人しそうな風貌の少年は言った。

「お前こそ、もうズタボロじゃねーか・・・。痛ぅ・・・!」
金髪の長い髪を後ろにまとめている少年は、膝をつき息を荒くして言った。

「ねぇ・・・【HERO】。もし、愛する人が自分の元を去ったらどうするんだい?恨むだろ?絶望するだろ?」

「あぁ!そんなもん、それがその人にとって幸せになるという選択肢なら、しょうがねぇんじゃねーか?いきなり変な事聞きやがって・・・」

「奇麗ごとを言うな!自分が裏切られたら恨むにきまってんじゃねーか!自分の人生台無しにされて笑ってられんのかよ!」

【GOD】は【HERO】の胸ぐらを掴み、叫んだ。

「はっはっははー」
突然、【HERO】は大きな声で笑った。

「何を笑っているんだよ。殺すよ?」

「そりゃ笑っちまうよ。おまえの言ってる事は、愛情に飢えたただのガキの言い分だ。いいか?年長者として言ってやっからよく聞け」

【HERO】が【GOD】の胸ぐらを掴み返す。

「裏切られたって思えばな、そりゃ少しは恨む気持ちにもなるかもな・・・。でもよ、人間てのはさ、そんな賢いもんじゃねーんだよ。その時その時で、迷いながら、苦しみながら、答えもわからずに、それでも自分で道を選択して生きていくんだよ。その選択肢の中で時には恨まれる事もあるだろう、感謝されることもあるだろう、愛したり、恨んだり、出会ったり別れたり、そうやって、意味なんかあるのかないのかわからない時間を死ぬまで過ごして行くのが、人生ってヤツなんじゃねーの・・・?っつーか、なんだよ。おまえ、しっかり感情あんじゃねーか。その葛藤が、感情だよ」

【HERO】は微笑んでいた。

【GOD】は【HERO】の手を払い、立ち上がる。
「いて・・・いてて」

「おい【GOD】!おまえ今・・・痛いっていったぞ・・・?」

「あれ・・・・?痛っ!痛み・・・?」

【HERO】も立ち上がり、お互いに対峙する。

【GOD】は、いきなり声を立てて笑い出した。
「思い出したよ・・・痛み・・・懐かしいな。ねぇ【HERO】・・・いや田中純、キミ変な奴だな・・・。でも、なんかわかった気がするよ」

【HERO】は腕も片方潰れ、満足に立てず、止めどなく口から血が溢れ出していた。
「そろそろ終わりにするか、【GOD】」

「貞次・・・貞次だ。ずっと名前を名乗りたくなかったんだ。だから、オレはただの【GOD】になった。でも、あの人もきっとつらかったのかもな・・・。僕の名前は、貞次だよ」

お互いに満身創痍のまま、見つめ合う。

「いくぞ、純」

「あぁ、もう体が動かねぇ。これで最後だ、貞次」

互いに駆け出し、ぶつかり合う。

「終わり・・・だな・・・」

そのまま2人は倒れ込む。

「僕の負けだ・・・純」

貞次は満足そうな笑顔を浮かべていた。

「ねぇ、頼みがあるんだ・・・これ」

純の手の上に、そっと1枚の写真を乗せた。

「ん・・・なんだよ・・・これ」

純が見たそれは、優しそうな笑顔で微笑む女性の写真だった。

「純・・・それはさ、唯一僕が心を許した女性なんだ。本当は、僕を裏切った彼女を、いつか殺してやろうと思ってた。恨みを忘れないよう、ずっと持ってたんだ。でも不思議だね。見れば見るほど、寂しいような優しいような気持ちになっちゃうんだよ。場所をつかんでおきながら、結局最後まで何もできなかったよ」

「そうか・・・」

「住所を教えるから、僕が死んだって伝えて欲しい。それで彼女がどう思おうが、何も思わなかろうがいいんだ。でも・・・一言伝えてくれるだけでいい。それが僕の唯一の生きた証だから・・・」

「おまえは死なねーぞ・・・急所ははずしてあるハズだ」

「いや、死ぬ死なないは関係なく、ただ・・・死んだと伝えてもらえないか。それで、彼女と僕の関わりは終わる・・・」

「そうか・・・」

「星がきれーだなー。昔、こんな星空を、その彼女とみたんだよ。ずっと・・・忘れてた。思い出せて良かったなぁ・・・」

「そうだな・・・」

「どんな過去でも、それが人生なんだね。僕はひねくれてた・・・結局、悪い事だけじゃなかったんだ・・・」

「おまえ・・・これからどうするんだ」

貞次はゆっくりと立ち上がった。
「僕はさんざん人を殺してきたからね・・・最後のけじめをつけにいかなきゃならない。もう行くよ・・・大丈夫、もう【GOD】は死んだ。鈴木博士も僕にまかせてくれないか・・・?」

純もなんとか起き上がる。
「わかった・・・。でも、おまえ、簡単に死んで終わらせるなよ。」

「信じて・・・くれるんだ・・・?僕を殺さないといけないんじゃないの?」
振り返った貞次は、満面の笑みを浮かべていた。

「もう、疲れたからな。勝手にしろ。でもな、オレにお使いを頼んだのはいいけど、オレも死にそう・・・だぞ?」

「大丈夫・・・キミは死なないよ。ヒーローってどんなに絶体絶命になっても死なないんだぜ」

弱々しく右手を上げて、足を引きずりながら、ゆっくり、ゆっくりと貞次は去って行った。

その背中を、純は見えなくなるまで見送った。

「さて・・・オレの仕事は終わったな・・・待ってろよ仁」




****************************************



とある地下室。

1人の初老の男が立っていた。

そこへバタンと扉が開き、血まみれの男が倒れ込む。

「【GOD】!まさか、敗北したというのか!」

驚きの表情を浮かべた男のもとへ、這うように貞次が近づいて行く。

「うん。負けたよ。見事にね。やっぱり、アンタの作った【GOD】は所詮未完成だった。水科博士が完成させた【HERO】は最高だったよ・・・。しょせん、アンタは人の知恵をそのまま使用しただけだ」

「黙れ!この役立たずが!完璧だったハズなんだ!水科ごときに負けおって、この・・・ゴフッ・・・な・・・にを・・・」

貞次の手刀が鈴木の胸を貫いていた。

「博士・・・アンタは人間のクズだけど、それでも僕は感謝しているんだ。アンタに拾ってもらわなかったら、僕は世界に絶望したまま死んでいた。でもね、アイツに会わせてくれたおかげで僕は・・・」

「き・・・さま・・・」

一言発した後、後ろには鈴木の首が転がっていた。

「本当は一緒に死んであげたいんだけどね・・・ごめんよ。どうしても僕は借りを返さなきゃいけないんだよ。あの世でいくらでも付き合ってあげるから、勘弁してね・・・」

貞次は這うように扉へ向かった。

「まず・・いな。早くしないと・・・死んでしまうかもしれない。アイツ・・・手加減しないんだもんなぁ・・・ふふふ」




****************************************



研究室。

血まみれの純が横たわる。

「悪いな・・・博士。こんなに体ボロボロにしちまっても、仁は・・・大丈夫・・・かな」

忙しく動き回る水科。
「よく生きて帰って来てくれた!純くん!後は任せておきたまえ!」

「あ・・・博士、オレが消え去る・・・前に、頼みがあるんだ」
純が差し出した手には、貞次から受け取った写真が握られていた。

「これ・・・オレの友達から預かったもので・・・届けなきゃいけないんだ。この写真の娘が○○○街の○○に住んでいるから・・・届けてやってくんねぇかな?そして・・・貞次が死んだと・・・伝えて欲しい・・・頼む!大事な友達との約束なんだ・・・」

水科はそれを受け取る。
「わかったよ純くん・・・では、麻酔をかけるから意識が無くなるよ」

純は右手を宙に差し出す。
「水科・・・あり・・・がとう・・・楽し・・・かった。仁や真由美を・・・よろ・・・しくな・・・あと・・・久美子の様子も・・・見に行って・・・やって・・・くれ・・・頼・・・む」

その手を握り返し、水科は泣いていた。
「あなたと言う人は、最後まで人の事ばかり・・・」

「最後に・・・これ・・・を・・・に・・・して・・・くれ・・・」

差し出されたその箱を水科が受け取ると、そのまま純は静かになった。

「わかりました。必ず・・・」



ピー。


後ろの機械から音が鳴る。

「やっと演算が終わったか!ギリギリだな」

その画面を見て、水科は凍り付く。

「何て・・・何という事だ!この計算でもダメだというのか!これではいくら体を犠牲にしても0%じゃないか!くそ・・・最後の希望は・・・潰えた・・・」

床に座り込み、泣き崩れる。

「すいません、純くん、真由美さん・・・純くんと仁くんを両方助けるのは・・・不可能です。私はどちらを・・・助ければいいんだ!」


しばらくした後、水科は立ち上がる。




「私が助けるのは・・・!」


スポンサーサイト

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/03/05(月) 15:18:58|
  2. HERO【長編】
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<越鳥南枝に巣くい胡馬北風に嘶く | ホーム | HERO 23話【長編】>>

コメント

・・・で?

つ・・つ・・続きが・・・気になる。
でも、なんとなく明るい未来が見えてきそうな予感も…しています。

いつも素敵なお話ありがとうございます、とってもたのしみにしています。私としては、あまり残酷でない終わりを希望します。
  1. 2012/03/08(木) 11:39:12 |
  2. URL |
  3. 一恵 #-
  4. [ 編集 ]

いつもありがとうございます。
ダラダラと時間かかってしまいましたが、収まれば後1回で終了の予定です。
  1. 2012/03/12(月) 06:40:47 |
  2. URL |
  3. 平 #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://donb.blog48.fc2.com/tb.php/283-1da94662
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

take-hiraoka

Author:take-hiraoka
Dog on Backseat

Twitter

カレンダー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最近のコメント

最近の記事

カテゴリー

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。